実際にインピンジメントを起こしている組織を紹介しました。
⇒ 足関節インピンジメントのイメージを持とう
今回は足関節インピンジメントのまとめとして
教科書的に複数文献をまとめてみました。
全体像を掴んでいただけると幸いです。
なお参考・引用文献は以下に記載してあります。
〇足関節インピンジメント症候群
「異常な骨組織が衝突したり軟部組織が関節内にはさみ込むことにより
足関節の正常な可動域が疼痛を伴い制限される病態」
診断は、
圧痛所見、肢位、スポーツ・パフォーマンスの聴取や画像検査により行われる。
治療は、
保存療法(消炎鎮痛剤の投与 理学療法 副腎皮質ステロイドの関節内注射)後、
改善しない場合には関節鏡を用いた切除術等が行われる。
予後は比較的良好。
1)外傷後の軟部組織が原因となる場合
捻挫等による外傷
→ 関節包や靭帯損傷
→ 反応性の結合組織塊(meniscoid lesionとも呼ばれる)の形成
→ 滑膜炎の増悪
→ インピンジメント
と生じる。
前外側部に多い。
2)三角骨症候群(ostrigonum syndrome)
足関節後方インピンジメント症候群(PAIS)
三角骨とは・・・
距骨後突起外側結節の骨化中心が外側結節と癒合せずに
同部に過剰骨を形成した場合、これを 三角骨 という。
8~11歳ごろに現れ、1年以内に距骨と癒合して後突起となるが、
癒合せずに分離することがある。
頻度は14-25%。
三角骨のみで疼痛が生じたら 有痛性三角骨 と呼ぶ。
ただし数は少なく、ほとんどが
距骨後突起、FHLの障害や腱鞘滑膜炎、距骨滑車後部の軟骨損傷の合併する。
総称して
三角骨症候群 (ostrigonum syndrome)
あるいは
足関節後方インピンジメント症候群
(posterior ankle impingement syndrome;PAIS)
と呼ぶ。
バレエダンサーやサッカー選手に多い。
3)衝突性外骨腫(inpingement exostosis)
足関節の底・背屈繰り返しにより
脛骨と距骨が衝突することにより骨棘が形成される。
サッカー選手に多く、 footaller's ankle とも呼ばれる。
私は臨床上、スポーツ外傷を見ることがほとんどないので
手術例を経験したことはありません。
ただ高齢者でも足関節周囲の疼痛を訴える場合は多く、
インピンジメントの概念を知っておくことで
運動療法に繋げられる部分もあると思います。
運動療法の対象となり得るかを吟味しながら
ぜひアプローチしてみて下さい。
【参考・引用文献】
1)倉秀治:足関節前外側軟部組織インピンジメントの病態と治療.関節外科 29,810-814,2010.
2)谷口晃,他:滑膜病変による足関節インピンジメントの病態と治療.関節外科 29,837-841,2010.
3)奥田龍三:足関節インピンジメントの病因・病態.関節外科 29,783-789,2010.
4)安田稔人,他:足関節後方・内側軟部組織インピンジメントの病態と治療.関節外科 29,815-820,2010.
5)平石英一:足関節後方インピンジメントの病態と治療.関節外科 29,829-836,2010.