理学療法士 (PT) だって 人間だもん

脊椎圧迫骨折のリハビリエビデンスや理学療法の臨床で思う治療のワンポイント、理学療法士として身に着けておくべきメンタル等、理学療法士としての思いを形に。 

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  理学療法 膝関節

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膝関節屈曲制限に対する関節可動域運動のコツ

膝関節屈曲制限となり得る因子について考えてきました。

 ⇒ 
膝関節屈曲制限因子となり得るものたち

膝関節にはいろいろな軟部組織があって難しい印象がありますが、

一つ一つの可能性を考えていくことに

理学療法の醍醐味なりおもしろさがあると思います。

何となく知識がついたら今度は実践ですね!

「 わかる 」 と 「 できる 」 は全く違うものです。

私も負けずに頑張りたいと思います。


で、実際に膝を曲げようとしていくわけですが

知っておいた方がよい 「 コツ 」 があります。

八木茂典:関節可動域エクササイズに必要な膝関節機能解剖.Sportsmedhicine 133, 21-31, 2011.

をお借りして書きたいと思います。


〇 大腿脛骨関節における膝屈曲 「roll back」を意識しよう!

 膝関節の解剖。よくこの姿は見ますね。

 
2

 ここでポイントなのが、

 
 「内側」 は大腿骨と脛骨の適合がよく、 

   一方 「外側」 は大腿骨と脛骨の適合がよくない

 ので、

  
外側の方が接触点を変化させながら膝は曲がります。

 具体的に言うと、

  
膝関節屈曲に伴い大腿骨が脛骨に対して後方に移動(大腿骨のroll back機構)。

  ( 脛骨から見たら大腿骨に対して外側が前に出る、つまり内旋する! )

 文献では、膝関節屈曲120度で14mm移動する と紹介されています。

 このイメージが非常に重要となってきます。

 
膝の動き

 実際臨床で運用する場合には、「脛骨の落ち込みを防ぐ!」 というのがコツです。

 
ROMex

 左図は大腿骨をしっかりと固定し、脛骨近位端を持って重力によって曲げています。

 一方、臨床の場面でよく見る右図は、脛骨のコントロールが不十分で、

 いかにも曲げてやるという気持ちが伝わってきます。

 曲げようと思っても膝はなかなかまがってくれません。

 
基本的には 「 曲げる 」 というよりも 「 勝手に曲がる 」

 
というのが理想だと思います。

 右図で脛骨のコントロール以外に、股関節が動いてしまっているのも

 関節運動をコントロールしにくい因子です。

 
理想は大腿骨を固定して、脛骨のみをコントロールする。

 その際、大腿前面の筋の緊張が邪魔になってきたら

 
仰臥位ではなくセザムベッドを高く上げて下肢を垂らした端座位を選択する、

 というのも少しコツかもしれません。

 
 また膝の動きを見る時に screw home movement を意識するのですが、

 定義は伸展の最終域で外旋するというのが教科書に書いてあります。

 しかし臨床上は、伸ばす時にどんだけ外旋させていいか分かりにくいです。

 むしろ、

 曲げるに伴って下腿が内旋すると覚えておいて、

 膝関節屈曲90-120度の段階で下腿が30度内旋する!

 ことを目安に関節可動域運動を実施する方が分かりやすいと思います。


以上のように、

 「 脛骨の落ち込みを防ぎながら、かつ、下腿を内旋させながら自然と曲がる 」

というイメージを持ちながら日々の臨床で熟練してはどうでしょうか?

今日からの臨床が、昨日とは少し変われば幸いです。

膝蓋大腿靭帯による膝関節屈曲制限

膝関節屈曲制限因子として 

「膝蓋上囊とprefemoral fat pad」 「大腿四頭筋」

について書いてきました。

 ⇒ 膝蓋上囊の癒着による膝関節屈曲制限 内側広筋と外側広筋による膝関節屈曲制限

膝関節屈曲制限因子としてもう一つ大事なのが 「 膝蓋大腿靭帯・膝蓋脛骨靭帯 」 です。

膝蓋骨骨折術後などで癒着・瘢痕化しやすいやつらです。

臨床上重要ですが、学校の授業で習った記憶は全くありません。


まずはどこにあるか?

膝蓋大腿靭帯解剖


膝蓋骨を中心に横へ、あるいは斜め下へと走行しています。

patella低位がある場合に膝蓋脛骨靭帯が瘢痕化している場合があります。

これらの瘢痕化・癒着は直接的に膝関節屈伸に伴うpatellaの動き、

いわゆる frontal rotation や coronary rotation を制限するため、

膝関節の拘縮につながってしまいます。



評価や治療ですが、

今までの基本通りに膝関節の屈伸に伴ってpatellaの動きの左右差はどうなっているか?

健側と比してpatellaが寄っていく方向の組織が硬いことが想像されます。


そしてpatellaの動きとして、上下左右だけでなくイメージとして「浮き上がらせる」 ことが重要です。

膝蓋大腿靭帯ストレッチ

拘縮がある場合には明らかに制限されますので、

ぜひ参考にして評価・治療してみて下さい!

内側広筋と外側広筋による膝関節屈曲制限

前回は膝関節屈曲制限因子の一番有名な 「膝蓋上囊の癒着」 について書きました。

 ⇒膝蓋上囊の癒着による膝関節屈曲制限


本日はシンプルに大腿四頭筋、特に 「内側広筋」 と 「外側広筋」 について。

これらの筋が筋緊張亢進していたり、癒着していたりすると当然膝関節屈曲制限を引き起こす。

よって筋を十分に収縮・弛緩させる必要がある。


大腿四頭筋

「内側広筋」 は 「内側広筋」  「内側広筋斜走線維」 に分類して考えます。

なぜなら 内側広筋斜走線維 の起始は広筋内転筋膜を介し、大内転筋腱にあるからです

また停止部は、内側にある支帯や膝蓋大腿靭帯へと移行し、側方の安定性に関与します。


内側広筋の解剖学的ポイントとして、

①部位による線維角の違い

②内側広筋斜走線維の起始が大内転筋腱にあること、

③内側広筋斜走線維の深層に滑液包が存在すること、

が挙げられている。


特に運動療法では①の角度に着目する必要がある。

内側広筋線維角

この線維角の違いにより運動の方向を決定する。

大概は内側広筋斜走線維の弱化が目立つため target muscle になりやすい。

内側広筋・外側広筋 収縮


「外側広筋」 は内側広筋と同様に考えると分かりやすい。

① 「外側広筋」 と 「外側広筋斜走線維」 に分類できる。 線維角は浅め。

② 外側広筋斜走線維は腸脛靭帯の内面より起始する。

③ 膝蓋骨外側の支帯や靭帯へと移行し、膝蓋骨の側方安定性に関与している。


外側広筋の治療のポイントとしては、

股関節外転位をとることで膝関節屈曲可動域に差が出ないか?

である。

股関節外転位にすることで腸脛靭帯の緊張は低下するためである。

この有無により、膝関節拘縮に腸脛靭帯が関与しているか否かを判断することができる。

これらのことに着目しながら、しっかりと収縮させることが治療の第1選択となる。


次に大事なのが、「短軸方向への移動」 です。

以前も筋が滑走するイメージというところで少し書きました。

⇒ 筋や腱が滑走するというイメージはありますか?


大腿四頭筋を見るときにどうしても表面から見ることが多いです。

しかしながら横断面を見て横の広がりについて考えることが重要です。

大腿四頭筋断面図
横断面の滑走

外傷や手術侵襲により表層部分だけでなく深部の組織も損傷し治癒過程にあります。

その際、表面だけでなくもちろん皮膚より深部の組織でも癒着が起ころうとしています。

膝関節の屈伸を考える際に長軸方向の動きには着目しますが、

どうしても短軸方向への動きは忘れがちです!

大腿四頭筋が大腿骨の周りを横に広がっていくイメージを持ちましょう!

そして膝関節を曲げていって横に広がるかどうか触ってみましょう!

VL exensibility

この評価はそのまま治療につながります。

曲げては横に、曲げては横にとしていると膝が曲がってくる場合があります。

ぜひ長軸方向だけでなく短軸方向にも着目してアプローチしてみて下さい!

膝蓋上囊の癒着による膝関節屈曲制限

膝関節屈曲制限で一番有名な 「膝蓋上囊の癒着」 について。

一旦、癒着を起こすと引きはがすのに難渋するので予防が大事。

まずは膝蓋上囊(包)の解剖から。

膝蓋上囊

大腿骨と膝蓋骨をつなぐ滑液包。

膝関節の屈伸に伴いキャタピラのように動くことで、

スムーズに膝蓋骨が長軸方向に動くことが出来る。

 ( 膝関節伸展位では折れ曲がり二重膜構造になっているが、

   屈曲に伴い単膜構造にその形態を変える。 )

この場所に長期間水腫等が存在すると癒着を引き起こし、膝蓋骨の運動性を重度に障害する。

膝蓋上囊の癒着


この癒着の部位だが、

「膝蓋上囊の前後が癒着」 する場合と

「膝蓋上囊と大腿骨の間に存在する脂肪体: prefemoral fat pad が癒着」 する場合の

二種類が考えられる。

prefemoral fat padの癒着


よって 「膝蓋上囊あるいは prefemoral fat pad の癒着」 を予防することが大事だが、

そのためには基礎中の基礎 Quad setting をしっかり指導することが重要である。

Quad setting はどこの教科書にでも載っているが、

必ず大腿直筋を抑制して、より中間広筋(特に膝関節筋) を意識することが重要!



「膝関節筋」 
とは、中間広筋が遠位深層から分岐した筋線維により構成されている。

膝関節筋
膝関節筋②← 拡大・縮小率はあいまい



大腿直筋を抑制する方法としては、

下前腸骨棘辺りで患者さんに直接大腿直筋腱を触知してもらいながら、

「ここに力入れないで膝を伸ばしてね。」 と Quad setting を促している。

股関節の屈曲動作を入れないことが重要。

長坐位でハムストリングスの十分な伸張性がなく、

後方に倒れるのを防ぐために骨盤前傾筋として大腿直筋を使ってしまっている場合は

仰臥位等、ポジションを考える必要がある。


また、大腿直筋を抑制するために筋腱移行部に対する限局的なストレッチも紹介されている。

大腿直筋の抑制

Quad settingにより中間広筋(膝関節筋)を収縮させることで癒着を防止することが

治療の第1選択となる。

他には、中間広筋 および prefemoral fat pad をセラピストが直接両手掌で把持し、

上に持ち上げる 「lift off操作」 も臨床上用いられることがある。

大腿前面部を 「 Ω 」 こんな形に持ち上げる。

持ち上げたときに膝関節が少し伸展するのを確認すること。


一旦拘縮を作ってしまうと改善に困るので、

問題が起こってから対応するのではなく、

予防的観点から理学療法を展開できるようになりたいものです。

今日も一日、一日一善。

膝関節屈曲制限因子となり得るものたち

膝関節で一番の重要な機能 「完全伸展」 について書いてきました。

⇒ 関節可動域制限の基礎中の基礎 -膝関節を例に-


今度は 「膝関節の屈曲」 について考えたいと思います。

日本人は和式生活がまだまだ残っていますので、

正座や床にしゃがんだり、場所によっては和式トイレを使用する必要があります。

それでは膝関節は何度曲がれば正常なのでしょうか?

結論としては、その人が生活で必要な角度だけ曲がれば正常だと思います。

いつも学生さんを引き出して申し訳ないのですが、

生活に困っていない膝関節140度屈曲可能な高齢の患者さんで

問題点 #膝関節屈曲制限 ⇒ P1.膝関節のROMex

とするのは、少しずれている気がします。


生活に必要な角度は、

 正常歩行 60度  階段のぼり 80度 くだり 100度

 自転車 120度  ランニング 135度  正座 150度

等。

必ず問題点を上げる際には、何に困っているかを確認してください。


では、膝関節屈曲制限因子となり得るものは何があるのでしょうか?

前回も書きましたが、「膝関節」 は 「大腿骨」 「脛骨」 「膝蓋骨」 の3つで成り立っています。

「腓骨」 は関与していません!

膝関節

膝の周りって筋肉を除いてもいろいろありますね。 全部覚えるのが大変。。。

まずは大枠を捉えにいきましょう。


膝関節伸展制限の時も書きましたが、屈曲も同じです。

治療アプローチの順序としては、

1.過剰な骨棘等で曲がらない膝なのかどうか整形外科医師と相談する。

2.浮腫・腫脹をできるだけ取り除く。

その後、

3.軟部組織によるものや関節の機能破綻によるもの

を検討していく。

例に出すと、TKA後の急性期は浮腫管理の方が非常に重要です。


そして、軟部組織によるものを考えていくのが理学療法の醍醐味です。


 1)皮膚 ・・・ 手術後では切開創の癒着が問題となることが多々あります。

 2)筋 ・・・ 大腿四頭筋を代表にいろいろ考えられます。

 3)靭帯 ・・・ MCLを代表にACLやPCL、あとは内・外側膝蓋支帯も影響します。

 4)関節包 ・・・ 膝蓋上囊の癒着は有名です。

 5)脂肪体 ・・・ 伸展の時にも問題になりましたが、屈曲でもやはり。

            膝蓋下脂肪体だけでなく膝蓋上囊の下にある脂肪体(prefemoral fat pad)が有名。


以上のようなものが考えられます。

理学療法士はただ膝を曲げるのではなく、

膝関節屈曲制限因子に関して臨床的推論を立て、

それに対して適切な治療を選択し、

結果がどう変わったかを日々吟味することが大事だと思います。


最後にどんな患者さんでも通ずることを。

 ● 最初にも書きましたが、目標とする可動域を必ず設定する。

 ● 必ず active の運動を積極的にやる! しっかり収縮、しっかり弛緩!!

 ● 重力を味につける! 垂らせば曲がる。

 ● 屈伸に伴う patella の動きの左右差を確認する。

 ● 曲げ伸ばしの切り替え、そして回数が重要。 とにかく頻回に。

 ● 筋の代償動作を必ず見破る。

これらのことが臨床上、大事だな~と思うことです。

私もまだまだ未熟ですが、日々研鑽を積み重ねたいと思います。
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