⇒膝蓋上囊の癒着による膝関節屈曲制限
本日はシンプルに大腿四頭筋、特に 「内側広筋」 と 「外側広筋」 について。
これらの筋が筋緊張亢進していたり、癒着していたりすると当然膝関節屈曲制限を引き起こす。
よって筋を十分に収縮・弛緩させる必要がある。
「内側広筋」 は 「内側広筋」 と 「内側広筋斜走線維」 に分類して考えます。
なぜなら 内側広筋斜走線維 の起始は広筋内転筋膜を介し、大内転筋腱にあるからです。
また停止部は、内側にある支帯や膝蓋大腿靭帯へと移行し、側方の安定性に関与します。
内側広筋の解剖学的ポイントとして、
①部位による線維角の違い
②内側広筋斜走線維の起始が大内転筋腱にあること、
③内側広筋斜走線維の深層に滑液包が存在すること、
が挙げられている。
特に運動療法では①の角度に着目する必要がある。
この線維角の違いにより運動の方向を決定する。
大概は内側広筋斜走線維の弱化が目立つため target muscle になりやすい。
「外側広筋」 は内側広筋と同様に考えると分かりやすい。
① 「外側広筋」 と 「外側広筋斜走線維」 に分類できる。 線維角は浅め。
② 外側広筋斜走線維は腸脛靭帯の内面より起始する。
③ 膝蓋骨外側の支帯や靭帯へと移行し、膝蓋骨の側方安定性に関与している。
外側広筋の治療のポイントとしては、
股関節外転位をとることで膝関節屈曲可動域に差が出ないか?
である。
股関節外転位にすることで腸脛靭帯の緊張は低下するためである。
この有無により、膝関節拘縮に腸脛靭帯が関与しているか否かを判断することができる。
これらのことに着目しながら、しっかりと収縮させることが治療の第1選択となる。
次に大事なのが、「短軸方向への移動」 です。
以前も筋が滑走するイメージというところで少し書きました。
⇒ 筋や腱が滑走するというイメージはありますか?
大腿四頭筋を見るときにどうしても表面から見ることが多いです。
しかしながら横断面を見て横の広がりについて考えることが重要です。
外傷や手術侵襲により表層部分だけでなく深部の組織も損傷し治癒過程にあります。
その際、表面だけでなくもちろん皮膚より深部の組織でも癒着が起ころうとしています。
膝関節の屈伸を考える際に長軸方向の動きには着目しますが、
どうしても短軸方向への動きは忘れがちです!
大腿四頭筋が大腿骨の周りを横に広がっていくイメージを持ちましょう!
そして膝関節を曲げていって横に広がるかどうか触ってみましょう!
この評価はそのまま治療につながります。
曲げては横に、曲げては横にとしていると膝が曲がってくる場合があります。
ぜひ長軸方向だけでなく短軸方向にも着目してアプローチしてみて下さい!