昨日はバイタルサイン、特に 「 呼吸数 」 について書きました。

 ⇒ 評価の基本中の基本 呼吸数をバイタルサインに入れよう

理学療法は 「運動」 を基本とし、

対象者に大なり小なり負荷を加えます。

対象となる方の状態を把握しておかないと過負荷になってしまいます。


本日は 「リハビリ中止基準」 と 「 検脈 」 について。


リハビリ中止基準として知っておくべき基準は以下の2つです。

アンダーソン・土肥の分類

日本リハビリテーション医学会の基準


これらは国家試験で問われるだけでなく、

臨床家として知っておかなければリスク管理不十分ということで

訴訟等の問題になる可能性もあり得ます。

そもそも責任問題とかそういう話じゃなくて、

せっかくセラピストのことを信頼して来てくれている患者さんの

安全を守ることは プロ として当然のことですね。


これらの基準をしっかり確認することは非常に大事ですが、

この基準を守ろうとすると介入が困難な患者さんもいます。

基準を満たさない = 理学療法介入不可 ではなくて、

なぜ基準を満たせない状態に患者さんがなっているのか を考え、

その都度、医師と対応策を相談する必要があります。

そもそも患者さんの状態で不思議な部分があったら、

医師と納得できるまで相談するのが基本です!

医師は忙しいから話しかけにくいとかは論外です。

ただし相談するためには理学療法士も

かなりの知識を持っておく必要がありますよ。


話を戻して、リハビリ中止基準についてですが

血圧や脈拍数、患者さんの訴え等は比較的分かりやすいと思います。

基準に従って対応して下さい。


一方、 「不整脈」 については分かりにくい部分があります。

いつも心電図モニタリング下で運動していればいいですが、

ベッドサイドを除いてそんな環境下にはありませんよね。

その場合に頼りになるのが、

「検脈(分かりにくい場合は聴診)」
です。

今は自動血圧計が普及しているので、

看護師さんでも検脈しない人を見かけますが、

脈を触知することは必須の評価項目だと思います!


検脈で確認すべきことは、

1.橈骨動脈が触れるかどうか?

  触れれば収縮期血圧80mmHgは維持できていると推測できます。

2.洞調律かどうか?

  洞調律の場合は脈拍数を計測し、

  頻脈か除脈傾向になっていないかを確認します。

  一方、不整を認める場合は

  ① 完全に脈を打つタイミングがバラバラ

    ⇒ 心房細動を疑います。

  ② 洞調律の中に乱れている脈がある

    ⇒ 心房性期外収縮 か 心室性期外収縮 を疑います。


不整のある場合に、必ず上記 ① か ② かを考えることがポイントです。

① 心房細動が疑われた場合

  まず確認すべきは、「発作性」 なのか 「慢性」 なのかです。

  高齢者は慢性の心房細動を持っている人がたくさんいます。

  慢性心房細動の場合は薬でコントロールされていれば問題ありません。

  脈拍数を計測して、徐脈や頻脈傾向になっていないかを確認してください。

  一方、いつもは洞調律の方が今日はどこか体調が悪くて、

  発作性の心房細動を発症している場合は注意が必要です。

  心房細動が起こったすぐは心内血栓ができやすい状態になっています。

  その日のリハビリは中止して看護師さんに報告してください。

  急を要する訳ではないので落ち着いて対応すれば大丈夫です。


② 期外性収縮が疑われた場合

  この場合もいつもと同じなのかどうかが重要です。

  いつもと比して明らかに増悪していたら、

  看護師さんと体調等について相談してみるといいと思います。

  また、初回介入時に期外性収縮を認めたら

  以前の心電図検査結果と比較することも必要です。

  基本的にはリハビリテーション中止基準に従って回数で評価します。

  1分間に10回以上とか。


  あと期外性収縮に関しては 『Lown分類』 を知っておくと便利です。

 ≪Lown分類≫  
  
  grade0 :心室期外収縮無し

  grade1 :散発性(1個/分または30個/時間以内)

  grade2 :散発性(1個/分または30個/時間以上)

  grade3 :多形性(期外収縮波形の種類が複数あるもの)

  grade4a:2連発

  grade4b:3連発

  grade5 :短い連結期(R on T現象)

 
 gradeが上がるにつれて危険な不整脈です。

 特にgrade3以上のものは医師と相談が必要で、

 grade4b以降はすぐに安静とし、医師に報告してください。

 心室細動に移行して致死的になる場合があります。


以上のように 『検脈』 で分かることはたくさんあります。

日々の臨床で検脈する癖をつけて下さい。

あとリハビリ室にAEDを設置しておくこと、

急変時の対応方法を練習しておくことが重要です。

備えあれば憂いなし!

日頃から危機管理意識を高めてくださいね。



☆ 読んで頂きありがとうございました!

スポンサードリンク


ぜひ興味があれば他の記事も・・・

ブログトップ ⇒ 理学療法士(PT)だって人間だもん


また 脊椎圧迫骨折に対する理学療法 に関するところも読んで頂けると幸いです。

骨粗鬆症について
 ⇒ 
骨粗鬆症性 脊椎圧迫骨折 に対する 理学療法②

脊椎圧迫骨折と治療法について
 ⇒ 
骨粗鬆症性 脊椎圧迫骨折 に対する 理学療法③

脊椎圧迫骨折の理学療法プログラム(運動)について
 ⇒ 
骨粗鬆症性 脊椎圧迫骨折 に対する 理学療法④

脊椎圧迫骨折の固定方法について
 ⇒ 
脊椎圧迫骨折に対する固定方法 体幹ギプス?コルセット?

脊椎圧迫骨折の疼痛管理の重要性について
 ⇒ 
脊椎圧迫骨折に対する理学療法 疼痛の評価が命

脊椎圧迫骨折部位の異常可動性について
 ⇒ 
脊椎圧迫骨折の骨折部位はかなり動く! それに対して体幹ギプス固定?コルセット? 

脊椎圧迫骨折の体幹ギプス固定の特徴と基本動作について
 ⇒ 
理学療法士による脊椎圧迫骨折に対する基本動作指導

脊椎圧迫骨折に対するインナーマッスルトレーニングについて
 ⇒ 
脊椎圧迫骨折に対するインナーマッスルトレーニング 『腸腰筋』『腹横筋』『骨盤底筋群』『横隔膜』『多裂筋』

軟性装具
 ⇒ 
脊椎圧迫骨折患者に対する軟性コルセットの巻き方



ブログランキングにも参加しています。

1日1回クリックして応援してくださると幸いです☆


理学療法 ブログランキングへ

にほんブログ村 病気ブログ 理学療法士・作業療法士へ
にほんブログ村

どうぞよろしくお願いいたします。