一旦、癒着を起こすと引きはがすのに難渋するので予防が大事。
まずは膝蓋上囊(包)の解剖から。
大腿骨と膝蓋骨をつなぐ滑液包。
膝関節の屈伸に伴いキャタピラのように動くことで、
スムーズに膝蓋骨が長軸方向に動くことが出来る。
( 膝関節伸展位では折れ曲がり二重膜構造になっているが、
屈曲に伴い単膜構造にその形態を変える。 )
この場所に長期間水腫等が存在すると癒着を引き起こし、膝蓋骨の運動性を重度に障害する。
この癒着の部位だが、
「膝蓋上囊の前後が癒着」 する場合と
「膝蓋上囊と大腿骨の間に存在する脂肪体: prefemoral fat pad が癒着」 する場合の
二種類が考えられる。
よって 「膝蓋上囊あるいは prefemoral fat pad の癒着」 を予防することが大事だが、
そのためには基礎中の基礎 Quad setting をしっかり指導することが重要である。
Quad setting はどこの教科書にでも載っているが、
必ず大腿直筋を抑制して、より中間広筋(特に膝関節筋) を意識することが重要!
「膝関節筋」 とは、中間広筋が遠位深層から分岐した筋線維により構成されている。
← 拡大・縮小率はあいまい
大腿直筋を抑制する方法としては、
下前腸骨棘辺りで患者さんに直接大腿直筋腱を触知してもらいながら、
「ここに力入れないで膝を伸ばしてね。」 と Quad setting を促している。
股関節の屈曲動作を入れないことが重要。
長坐位でハムストリングスの十分な伸張性がなく、
後方に倒れるのを防ぐために骨盤前傾筋として大腿直筋を使ってしまっている場合は
仰臥位等、ポジションを考える必要がある。
また、大腿直筋を抑制するために筋腱移行部に対する限局的なストレッチも紹介されている。
Quad settingにより中間広筋(膝関節筋)を収縮させることで癒着を防止することが
治療の第1選択となる。
他には、中間広筋 および prefemoral fat pad をセラピストが直接両手掌で把持し、
上に持ち上げる 「lift off操作」 も臨床上用いられることがある。
大腿前面部を 「 Ω 」 こんな形に持ち上げる。
持ち上げたときに膝関節が少し伸展するのを確認すること。
一旦拘縮を作ってしまうと改善に困るので、
問題が起こってから対応するのではなく、
予防的観点から理学療法を展開できるようになりたいものです。
今日も一日、一日一善。
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